週刊「街ニュース」278号

(1998年6月22日発行)

本の紹介

『練馬に生きて』

私が経験した部落の生活・差別・解放運動

萩原 栄吉<著>

練馬人権センター<編・発行>

『一言で言えば、「何の意味もない」ということだ』(「はじめに」より)

………長年にわたって、私を最も苦しめてきたのは、こうした食っていくための苦労ではなかった。
 部落民は何故「のけ者」にされるのか。なぜ「よつ」「ちょうりんぼう」「かやんぼう」と呼ばれ蔑(さげす)まれるのか。そのイワレは何なのか。私と仲間たちはなぜ差別の屈辱を耐えなければならないのか。

「部落ってなんだ」という、いくら考えても答えの出ない、誰も教えてくれない「疑問」に苦しんだ。答えのない疑問を抱えたまま、私は自分の出身を隠し、37歳まで生きてきた。

37歳で、部落解放同盟練馬支部に入り、先輩から教えられたり、自分なりに勉強して、長年自分を苦しめてきた「部落差別」が何なのか、初めてわかった。

一言で言えば、「何の意味もない」ということだ。

……中略……あらゆる差別は残酷であり、差別される人を傷つけるだけでなく、差別する人の人間性をも蝕(むしば)むものだということを、分かりあえる関係を築きたい。

分かりあえるためには、まず、出会い、知り合うことから始めなければならない。
そういう思いで、私はこの本を書いた。私が経験した部落の生活、仕事、差別、解放運動の話が、部落解放と一切の差別をなくす運動に何らかの役にたつなら、これにまさる喜びはない。………後段略……

 本書は、練馬人権センター機関紙「じんけん」に掲載したものを、加筆・整理したものです。萩原さんが、いかに部落差別の中を生き抜き、いかにして「人は人に会わなければならない」という信念を得たのか、その過程をたどることは、全ての人に大きなはげましになると確信しています。「競争ではなく共生を」への営みの中に本書が足跡を残すことを願ってやみません。<編集委員会>

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2、同上気付、練馬人権センター 
   電話 03−3557−2949 月・木 19:00〜21:00
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3、「オープンスペース街」 電話 03−3928−1378
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